体をまかせられる責任
先日のNHK クローズアップ現代、
「“肩こり解消”で思わぬ被害!?~癒しブームの陰で何が~」
http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail_3768.html
で、手技療法の業界のリアルを伝えていました。
残念なことですが、番組にあったとおり、
人の体に触れる仕事についていても、
人の体についての知識や
危害を与えない安全な技術を
十分に身に付ける機会のないまま
働いている人も多いのが、
この業界の現状です。
番組は、2012年8月の国民生活センターの報道発表資料、
「手技による医業類似行為の危害
-整体、カイロプラクティック、マッサージ等で重症事例も-」
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20120802_1.html
をベースに取材した内容で、
実際の被害事例や、業界の状況や対応について伝えたものでした。
肩こりや腰痛の解消やリラクゼーションの目的でいった先で
かえって危害を加えられたとされたものが、
2010年度から2014年度の間に全国で1090件起こっています。
危害にはどんなものがあるかというと、
骨折、打撲、脊髄損傷、など、
かなり重症なものも発生しています。
こういった「手技」と呼ばれる
手を使った技術で人の体に触れるものには、
国家資格のものと、国家資格でないものがあります。
「危害を受けた施術」のグラフを見ると、
国家資格かどうかは関係ないことがわかります。
(接骨院、整骨院は、柔道整復師の施術院)
国家資格とそうでないものの比率は半々です。
だから、
「国家資格があるところなら安心」
という保証はない、ということになります。
※ここでの分類は、被害者の自己申告によるものなので、
名称は本当に正しくそうなのかはわかりません。
「マッサージ」だけど、マッサージ師の資格はない、
「カイロプラクティック」だけど
中身はそうではないサービスをしている、
という店舗や施術者が非常に多いのです。
脊髄損傷の被害に遭った男性が取材に応じていました。
3年前、慢性腰痛で通っていた施術院で
腕のしびれを訴えたところ、
首を急回転する施術をされた。
全身の激しい痛みに整形外科を受診したら、
脊髄損傷と診断され、
手術したけど回復は困難。
今も全身の痛みやしびれに悩まされ、
少しでも紛らわせるために
一日中自宅を歩き回っている。
横になることもできない。
手先を使った細かい作業ができなくなり、
仕事も辞めざるをえなかった。
……深刻な後遺症に苦しまれています。
「首を急回旋する施術」は、1991年に
厚生労働省から禁止の通達が出ているものです。
そのことを知らずに
こうした手技を行っている施術者は、
情報を提供してくれる
優良事業者の集まりである協同組合などの団体に所属したり、
学生にこうした情報を伝えて
正しい体の知識と安全な手技を教える学校で学んでいない、
という可能性があります。
人の体に自らの手で何か変化を与える以上、
過去の情報から最新情報まで、
常に学んだり入手できる状況をつくることも、
施術者の義務だと思います。
また、このケースの場合、
手のしびれが持病によって生じていたことを
見抜けなかった、という問題もあります。
この方は、頸椎の靭帯が骨化する病気で
神経が圧迫されてしびれが生じていたのを、
そういった他の可能性があることを考えず、
病院での検査をすすめることなく、
頸椎の施術で改善させようとしたことが
問題なのです。
厚生労働省は、
教育カリキュラムの検討や
免許保有証の発行、
被害があれば指導、
などの対応をしていくようですが。
「被害があれば」ということ自体が
あってはいけない、
ということを
施術者として改めて心に刻みます。
私たちを信じて
体をまかせていただく。
そのことの責任の重さを
常に感じて、考えていきます。
幸い、今まで、私は
こうした事故を出さずに済んでいます。
でもそれは、
過去に行ってきたことの結果です。
私たちは毎月、知識と技術の終日研修を受けるほかに、
年に数回のスキルアップ研修、
海外の大学の教授から受ける講義と実技、
姿勢科学の専門学校の授業など、
知識や技術を身に付け、磨く場をもっています。
年に一度は第三者から
安全な技術ができているかを審査される
技術審査会にも参加しています。
これを続けていくことが、
今、そして未来の結果につながると信じます。
というより、
他に近道や確実な道はない、と思います。
そういったことに時間をいただくのに、
お店を休んだり、スケジュールを変えてもらったり、
お客様にご不便をかけることはあるけれど、
そこを理解して送り出してくださる皆様に
還元していくことが私たちの仕事です。
施術した方の体を傷つけたり、
人生を狂わせることは
絶対にあってはならない。
そのことを改めて考えさせてくれる番組でした。
この番組を見て、
「あれはひどいですね」
「こわいですね」
「家族からあなたのいってるところは大丈夫?ときかれた」
と話してくれたお客様たち。
「ここは違う」と信じて
体をまかせてくださる皆様のために、
残念な結果じゃなくて、
今よりもっと楽しくすてきな未来を
一緒に築くためにも、
学ぶこと、知識をつけること、腕を磨くことを
続けていきます。
私の働いている店舗は
姿勢調整専門のフランチャイズチェーンです。
毎月、全国の姿勢調整師が集まって行っている
技術の研修の一部を、
一般の方にも見ていただくことができます。
もし、
「ホントに真面目にやってるのかな?」
「施術のプロがやってる研修、ちょっとのぞいてみたい」
と興味のある方がいらっしゃいましたら、
ご連絡ください。
(姿勢専科・KCSセンター恵比寿 03-6755-5823)
無料でご招待いたします。
通常であれば、
「関係者以外立入禁止」の場です。
技術の内容も解説も見せちゃうので、
よく公開するなー、と私は思いますが、
もし私が部外者なら、
好奇心で行っちゃうこと間違いなしです。笑
(「関係者以外立入禁止」の中を見るの、大好き。)
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